2011-08-30

翻訳という仕事は体と心にキツい ― 山岡洋一さんとのお別れ

先週末、翻訳の大先輩、山岡洋一さんのお葬式。

山岡洋一さんに最初にお目にかかったのは24年ほど前のこと。どういう経緯だったかは忘れてしまったが、当時家内(武舎るみ)の勤務していた翻訳会社で(家内の)上司だった山岡さんと、翻訳ソフトについて少しお話をさせていただいた。

次にお目にかかったのは、それから20年以上たってから。何度かメールや電話でやり取りをして、Dictjuggler.netで『翻訳訳語辞典』や『経済・金融訳語辞典』を公開させていただいてから、2年ほど立っていた。ノンフィクション翻訳関係者の忘年会というのがあって、その席でチラとお話をさせていただいた(山岡さんは主催者側でとても忙しそうにしていらした)。

三度目は去年の春だったか。「DictJuggler.netについて話がしたい」みたいなことだったと思うのだが、なぜか、家内にも会いたいとおっしゃって、我が家にいらしていただいた。この間、ほかの方にうかがったところによると、この前年に病気をなさったようで、「少し虫の知らせ」みたいなものがあったのだろうか。

息子が帰ってきて、軽くあいさつをしたら、嬉しそうな顔をなさって、あいさつを返してくださった。『きっと、ご自分のお子さんもかわいがっていらっしゃるんだろうなあ』と思われた。

そして、今となっては「最後」になってしまったのが、去年の秋の『翻訳通信』の100号記念パーティの席。10年後ぐらいの200号記念パーティまでは現役で行きたいというようなことをおっしゃっていたのに。

翻訳という仕事はきつい

プログラミングと翻訳を比べると、圧倒的に翻訳がきつい! 精神的にきつい。プログラミングのように、「ダダ〜ッ」といくことができない。いつも常に「ちまちま」と、少しずつ、一歩ずつ進まねばならない。一語一語、一頁一頁、進まなければならない。

物理的にはプログラミングも翻訳を同じくらいきつい。目は疲れるし、肩は凝る。腰も痛くなる。 ずっとコンピュータの前で過ごさなければならない。

私が去年、翻訳教室で教えたとき生徒さんにこう言った。

「翻訳者に一番必要なものはなんだかわかりますか? 英語力? 日本語力?」
「いや実は一番必要なのは、体力と精神力なのですよ」

数年前、私の大学の先輩の翻訳者の女性の方も、突然他界されてしまったことがあった( 詳しくはこちら)。

幸運なことに、私はこれぞと思う健康法に出会った。相変わらず目は疲れるし、肩は凝るが以前よりはるかにましになった。自分の体の状態を以前よりはるかに明確に把握できるようになった。山岡さんもやっていればよかったのに。 皆さんにこの健康法を広めるときがもうじき来るのかな〜。もう、その時なのかな〜と思う、今日この頃。

ご冥福をお祈りいたします。これからも、天国から我々に「カツ」を入れてください。(グスン...)

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